今日もまた終わる。

都内だけでも30万人はいる平凡なサラリーマン。ライターもやってます。

担任の先生の言葉

今週のお題「卒業」


卒業シーズンになるといつも思い出す。

「ごまかしてはいようが、あのときお前はなんとかしたから俺は怒らなかった」

中学校の卒業式当日、担任の先生に言われた言葉だ。
今でもこの言葉を大切にしている。

先生が私にそう言ったきっかけの出来事は、その半年ほど前に起こった。


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「西山! 田中! 提出してないのお前ら2人だけだぞ!」

ある日の帰りの会で先生が言った。
先生が言っているのは、前の週に配られた保護者会の出欠票のことだ。
すでに提出期限日から3日過ぎている。

「ウチは欠席です」

私の両親は共働きなので、こういった類のものに出たことは一度もない。

「口頭じゃなくて、ちゃんと出欠票を提出しろ! みんな提出してるのに、お前だけ特別扱いはしないぞ」

出欠票どころか、テストや通知票すら親に見せたことがなかった。
不要なプリントは教室のゴミ箱にそのまま捨てていたし、親も何も言わなかった。
3年生になって志望校を決める際に初めて私の成績を母に伝えたところ、想像よりも上だったようで、

「あんた、なんで勉強できるの?」

と言われたときはさすがに呆れた。
ダメだと思っていたのなら、よくもまぁ放っておいたものだ。
というか、どんだけバカだと思われたんだよ。


その日は田中と下校した。

「あー、めんどくさ、みんなの前で言われたから恥ずかしかったよ」
「そうだなー、ところで田中」
「ん?」
「出欠票コピーさせて?」

どうせ探しても見つからないと踏んでお願いすると、田中が笑いながら快く貸してくれたので、
通学路にあるローソンに入ってコピーした。
田中は外で待っていた。

原本は藁半紙、コピーの方はキレイな白い紙だからコピーしたのがバレバレだけど、
まぁ、なんとかなるなる!
これで明日は怒られずに済みそうだ。


 


翌朝、教室に到着するなり田中が駆け寄ってきた。

「あ、昨日はありが……」
「おい、俺の出欠票は!?」

あ。
ローソンのコピー機に入れたままだ。

「マジかよ! お前、貸した方が失くされるってどんな……」
「おはよう!」

ちょうどそのタイミングで、朝の会のため先生が入ってきた。

「西山、田中、ちゃんと持ってきたか?」

いきなりだ。
とりあえず私は席を立ち教卓まで渡しに歩いた。

「田中は?」
「すみません、忘れました!」

田中は、私のせいであることを一切言わなかった。


決定盤「卒業ソング」

ベスト(1枚組)



そして、卒業式の日がきた。

「お前、あれコピーだったろ?」

あのときの話だ。

「あ……やっぱり分かりますよね」
「分かるに決まってるだろう。まぁでも、ごまかしてはいようが、あのときお前はなんとかしたから俺は怒らなかった。社会に出たら、そうゆうことも必要だからな

1枚の出欠票からこんな話になるなんて。
中学時代の大きな思い出の1つになった。


田中からしたら、忘れたい思い出かもしれないけど。


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友達間だけの笑い

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今週のお題「何して遊んだ?」


小学生の頃なんかに特に多い、「友達間だけで通じる笑い」みたいなのがある。
そのほとんどは、今思うと何がおもしろかったのか分からない。

私たちの場合、その頃は、「外国人の名前」におもしろさを感じていた。
マイケルだとかジョンだとかステファニーだとか、何の意味もないのに叫んだり、友達をそう呼んだりして笑っていた。


休み時間、10人くらいで鬼ごっこをしていたときである。

「鬼ごっこに名前をつけよう!」

誰かが言った。
校庭のいろんなところで鬼ごっこをしていたので、その場所ごとに名前をつけようということになった。


 


校庭の奥の小高い丘での鬼ごっこは、「ジョンソン」
ジャングルジムの周りでの鬼ごっこは「ジョニー」
この2つで主に遊んでいた。

リアル鬼ごっこ


「今日はジョニーしようぜ!」

リーダー格の声掛けにいつものメンバーがジャングルジムに走る。

いつものように叫んで笑って駆け回って、休み時間が終わる頃だった。

「危ない!」

1人がジャングルジムの3段目から落ち、尻を着いたときに手を切ってしまった。
大した傷ではなかったが、血が止まらない。


私はそいつに付き添って保健室に向かった。
2人とも、怪我のことより保健室の先生に怒られることを心配していた。
わざと交代でやっているのかと思うほどみんな順番に怪我をして、毎日のように保健室に行き、
いい加減にしろと数日前に怒られたばかりだった。


「またー? もう…何してたの?」

赤チンを塗りながら、イラついた雰囲気たっぷりで私たちに聞く。

「えっと、あの、ジョニーをやっていまして…」

するとギラッと私を見た。

「ジョニーって誰なの!? 連れてきなさい!」

この怒鳴りに爆笑してしまい、また怒られた。


この頃みたいにくだらないことで笑っていたいものだ。


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