今日もまた終わる。

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サンタクロースの筆跡

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私が子どもの頃のクリスマス。
我が家ではクリスマスに欲しいプレゼントを母に伝えると、
母づてに聞いたサンタがイヴの未明に持ってきてくれる、ということになっていた。
枕元に靴下はいらないし、煙突がなくても、
「サンタは家庭に合わせた秘密の方法で配送をしているから心配ない」と母は言っていた。

疑問は山ほどあった。
お母さんはどうやってサンタと連絡を取っているんだろう?
毎年プレゼントは枕元にあるけど、それは一体どんな方法なんだろう?
世界中の子どもに一晩で配送するのなら、トナカイの最高時速は何キロなんだろう?

母に訊いても、「子どもに教えちゃいけない約束だから」の一点張り。
そこで、ちょっとした抵抗をしてみた。
それは、疑いが強くなった、小学2年生の時のクリスマスだった。

「今年は何が欲しいの?」
「サンタに直接言う」
「ダメだよ、サンタは子どもと話したり姿を見られたりすると、次の年から働けなくなっちゃうんだから」
「どうして?」
「それは分からないけど、そうゆう決まりなんだって」

余計に疑いが強くなった。
これ以上訊いても無駄なので、弟と2人で寝たフリをしようと決めた。
父と母の目を盗み、普段使っていなかった玄関のチェーンロックを掛け、
部屋の窓に鍵が掛かっているのを確認し、眠ってしまわないように2段ベッドの上下で弟と会話を続けた。

しかし、当時弟は幼稚園の年中組。
しりとりの途中で寝息を立てた。





気が付くと、朝になっていた。
いつの間にか私も寝てしまっていたようだ。
枕元にはプレゼントと手紙が置いてあった。

『一くん、ごめんね。一くんが欲しがってたゲームソフト、見付からなかったんだ。
代わりにサンタさんオススメのおもしろいゲームソフトを持ってきたよ。これで弟と仲良く遊んでね』

あのゲーム、なかったんだ…。
でもこれもおもしろそう!
ありがとう、サンタさん!

ただ、その字は紛れもなく、飽きるほど見た母の筆跡だった
鑑定などせずとも、丸字だからすぐに特定出来た。


翌年のクリスマス、その辺りを問い詰めるとあっさりと母は認めた。

「いるはずないだろ、サンタなんて」

トドメに父の冷めた台詞。
思えば、外国人嫌いの父がサンタを家に上げるはずがない
どうしてそこから推測出来なかったんだと、自分の思考の甘さを反省したクリスマスだった。




セクシーサンタコスチューム

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